福岡マラソン2017まで 残り83日
フルマラソンを完走する。
この「
完走」の定義は人それぞれ違います。
- 制限時間内にゴール出来れば完走
- 制限時間を過ぎてもゴールに辿り着けば完走
- 走り続けてゴール出来れば完走
「完走」に決まった定義はないので、自分が「完走した!」と思えればそれで良いのです。
しかし、私の経験上レース中に立ち止まる事無く(給水は走りながら飲むのが難しいので、立ち止まってしっかり給水しましょう)最後まで走り切ってゴールした時の嬉しさは一味違います。
しかも、レースの後半もペースが落ちることなく最後はラストスパートをかけて、ガッツポーズと笑顔でゴール出来れば最高です。
フルマラソンを最初から最後まで一定のペースで走り切るのに必要な能力が、
「
スピード持久力」と言われます。
スピードと言っても、実業団選手の様に速いスピードでなくても良いのです。
例えば、制限時間7時間のマラソン大会で最初から最後まで一定のペースで走り切るには、
時速7kmで走り続けられるだけのスピード持久力を付ければ良いのです。
今回はスピード持久力をつける為の練習方法をお伝えします。
フルマラソンを歩かずに完走する為に必要なスピード持久力を身に付ける方法
フルマラソン(42.195km)を歩かずに一定のペースで走り続ける為に必要な能力としては、
- フルマラソンを走り切る体力
- 一定のスピードで走り続けるスピード持久力
- 体が疲れて来ても走り続けるための精神力
この3つが重要になって来ます。
体力は、マラニックやLSDなどで休憩などを挟みながらも長い時間体を動かす事で養われて行きます。
スピード持久力と精神力を身に付けるには、ある程度体力が備わったところで今度は一定のスピードを守りながら走り続ける練習に取り組んで行きます。
「物足りない」と感じるスピードで走り始める。
スピード持久力を身に付ける練習を始める目安としては、
- マラニックやLSDで2時間(120分)以上動ける
- 普段のジョギングで1時間(60分)または10km走る事が出来る
上記の項目が余裕を持ってクリアー出来る様になれば、スピード持久力を身に付ける練習をメニューに取り入れて行きましょう。
スピード持久力は、あくまでフルマラソンを一定のペースで走り切る為の能力なので、普段のジョギングのスピードよりも遅いペースを設定するようにします。
普段のジョギングのペースが1キロ、7分30秒位ですと、最初は1キロ 8分程度を目安に走ります。
距離や時間の目標は、その人の持ち合わせている体力によって設定が変わって来ますが、10km走り続ける事が出来るのであれば、まずは
一定のペースで10kmを走り切る事を目指しましょう。
スピード力とスピード持久力は違う
スピード持久力と言うと「速いペースで走る」事をイメージする人もいるかもしれません。
スピード持久力とは「一定のペースで走る能力」の事であり、速く走る能力は「スピード力」と考えて頂くと良いと思います。
「スピード力」を身に付けるには、短い距離を息を弾ませながら走る練習になりますので、フルマラソンを3時間半以内で走る事が目標の方には必要な練習になりますが、フルマラソンを5時間以上で走り続けて完走を目指すのであれば、まずは「スピード持久力」を身に付ける練習が必要です。
余裕が無くなって行く感覚を身に付けよう
普段のジョギングより1キロで30秒程遅いペースで走っていると、最初はかなり肉体的にも精神的にもかなり
余裕を持って走る事が出来ます。
最初の5km程は走るペースを常に意識していないと、知らず知らずのうちにスピードが上がって普段のジョギングと変わらないペースになっている事も少なくありません。
目標としているフルマラソンは42.195kmの長丁場です。
どんなに体力のある人でもフルマラソンを一定のペースで走り続ければ、体力が徐々に減って行きます。
最初から気持ち良く走っていれば、筋肉が徐々に疲れて来て気持ち良く走る事が出来なくなってしまいます。
フルマラソンは「
30kmまでに体力を半分残す位の気持で走る」と言われます。
車で考えると分かり易いかもしれません。
一定のスピードで50km走れる車があるとします。その車で42kmを走ると考えると、念のために30kmを走る時点でガソリンを半分残そうと考える様な感覚です。
42kmの半分である21kmの時点でガソリンが半分残っていれば、ゴールにたどり着く事は可能ですが、何かトラブルがあった時の事も考えれば、少し多めに残しておきたいと考えるのが普通だと思います。
フルマラソンも同じように考えて、30kmまでに体力が半分残っていれば、残り12kmに対しての精神的な余裕が生まれます。
そう考えると、走り始めから気持ち良くかっ飛ばしてはいけないのです。
普段のジョギングの気持ち良いペースよりも体力を温存する意識をもって、「
物足りないなぁ~」と感じるペースで走る様にしましょう。
何も考えなくても一定ペースで走れる時間帯がある
「
物足りないなぁ~」と感じるペースを意識しながら走り続けている最初の頃の感覚は
ペースを上げようと思えばいつでも上げられる
敢えて、速く走れるのをセーブして走っているような感覚です。
しかし、距離が長くなるにつれて徐々に筋肉にも疲れが溜まり始めて、気が付けば自分の中の感覚が変化している事に気が付きます。
さっきまでは敢えてスピードを抑えて走っていたのが、徐々にスピードを抑えようとしなくても一定スピードで走れる感覚に変わって来ます。この頃の感覚は
ペースは上げられるけど、上げるにはちょっと気合が必要
こんな感じです。スピード的にはまだ余裕は残っているものの、実際にペースを上げる為には頬と太もも辺りを軽く2回ほど叩いて刺激をしながら気合を入れてスピード上げる様なイメージです。
私の場合はフルマラソンのレースだと、15km以降がこんな感じです。
ペース維持が辛くなってきたら、リラックスを心がける
一定のペースで走り続けていると、今のペースを維持するのが辛くなってくる時期がやって来ます。
筋肉的に疲労が溜まっているのもありますし、常にペースを意識して走っているので、精神的にも集中力が徐々に無くなって来ているのです。
TV中継されるようなトップ選手のマラソン大会で先頭集団を引っ張るペースメーカーと言われる選手がいるのをご存知ですか?
ペースメーカーの選手は先頭集団の選手が自分で意識しなくても一定のペースで走ってもらうために、大会の主催者側が先頭集団を30km付近まで一定のペースで先導する為だけに用意する選手の事を言います。
市民マラソン大会でも最近は3時間、4時間、5時間、6時間と書かれたゼッケンを身に付けて、頭には風船などの目立つ飾りを付けて、選手たちを先導するペースメーカーを用意する大会も多くなっています。
一定のペースで走り続けるには精神的にも集中する必要があり、一人で練習する場合には時間と共にかなりの疲労感を感じるはずです。
一定のペースを維持するのが難しくなって時の感覚は
今のペースを走る事は出来るけれど、ちょっと気を抜くとペースが落ちてしまう。
こんな感じです。
頭の中では「
かなり疲れて来たし、ペースを少し落として楽になりたいな。」と、少しネガティブな感情が湧きだす頃でもあります。
この時期に大切なのは、
一度大きく深呼吸してリラックスを心がける。
必死とは言わないまでも、一定のペースを維持するのが辛くなってきているので、筋肉も脳もペースを守るのに一生懸命頑張って、知らないうちに眉間にシワがより気が付けば、歯を喰いしばったりしています。
ペース維持が辛いのに何とかペースを維持しようとするという事は言い換えれば、
一定ペースに「
執着」している行為です。
ただ単に楽しく走るだけなら、疲れたらペースを落とせば良いだけです。
でも、やはり目標を決めて一定のペースで走るとなれば、辛くなった時に踏ん張る力が必要です。
そんな時は無駄な力を抜く為にまずはリラックスして楽に動く事を心がけます。
リラックスして、足の回転数を少しだけ上げるつもりで着地のリズムを少しだけ早めて歩幅をほんの少しだけ狭くすると、意外にもペースは落ちることなく余力を持ったままペースを維持する事も可能です。
この辺りは練習を積んで行く中で経験して行きましょう。
ラストスパートせずに、最後まで一定のペースを守る
走る距離を決めて、スピード持久力を身に付ける練習も残す距離が短くなって来ると筋肉にもかなり疲労が溜まり、精神的にも集中力が続かなくなっているので、一定のペースをコントロールする事がかなり難しくなって来ます。
この時点で感覚としては、
ペースを保つほどの余裕はなく、落とさないためにかなり頑張ってる。
走らなくても良いなら、もう止まりたい。そんな感覚です(笑
残り2kmを切った辺りから、とにかく
この苦しさから解放されたい!
そんな思いが強くなると、思わずペースが上がってしまう事が多いです。
しかし、ここは敢えて、その苦しさも楽しむぐらいの感覚で、ラストスパートはかけずに最後まで一定のペースで走り切る事を意識しましょう。
仮に残り2kmの時点で一定ペースを守れない程ペースが落ちている様であれば、今回の設定したペースが自分にとっては速過ぎた。又は距離が長すぎたという事になります。
次回は設定速度を少し遅めにして、同じ距離に挑戦するか、同じ設定で最後まで持つように頑張るかのどちらかで再挑戦してみてください。
まとめ
今回はスピード持久力を身に付ける練習の中で刻々と変わる感情を少し表現してみました。
フルマラソンを完走する上で、長い時間一定のペースで走るためには、結局練習で自分の体を慣れさせていくしかありません。
自転車に乗れない人が、いくら上手に乗る為の方法をインターネットや書籍などで情報を集めても、実際に自転車に乗ってみない事には自転車に乗れる感覚は体験する事が出来ません。
自分の体力がどの位あって、一定のペースでどの位の距離を走り続けられるかを知るには実際に走ってみるしかありません。
どうしても失敗を恐れて、実際にスピード持久力を身に付ける練習に踏み切れないかもしれませんが、失敗する事で経験しながら学んで行く事が上達するコツだと思っています。
故障だけには十分注意して、短い距離から少しずつ距離を伸ばして一定のペースで長く走れる様に体を慣らして行きましょう。