フルマラソンレース1か月前にやってはいけない事は?

【レース1ヶ月前でもやる事は同じ】
レース1ヶ月前辺りから気持ちが高ぶって来ます。
どんなに十分な練習を積んでも
レースへの不安な気持ちが生まれます。
人間が行動を起こす理由は大きく分けて二つ。
1つは「快楽への追求」
・美味しいお酒を飲む
・スポーツカーを購入する
・マッサージを受ける
自分の生活の質を上げたり、
より良い暮らしや快適空間を求めたり、
自分の心と体を満たす為に人は行動します。
もう一つは「不安の回避」
・老後の為に貯金する
・台風に備えて雨戸を閉める
・蛇を見たら逃げる
今後、自分に起こるかもしれない
不測の事態に対して準備をするために
人は行動します。
これはマラソンに対しても、
同じ事が言えます。
・自己ベストを更新したい
・笑顔でガッツポーズをしてゴールしたい
・仲間と打ち上げで美味い酒を飲みたい
そんな「快楽の追求」の為に、
地味で苦しい練習をコツコツと頑張ります。
その一方で
・レース後半で失速したくない。
・応援してくれる仲間の期待を裏切りたくない
・マラソンランキングを落としたくない
と言った「不安の回避」が原動力となり、
苦しい場面でもグッと踏ん張る事が出きたりします。
「快楽の追求」と「不安の回避」を比べた場合、
人間は「不安の回避」に対して行動力が増すと
言われています。
これは、「不安の回避」は
人間の遺伝子に組み込まれた欲求で、
原始時代から人間は常に飢えと死の不安と
隣り合わせで生きて来たので、無意識に
「不安の回避」への行動を選択する様に
潜在意識レベルで刷り込まれて生きて来たからです。
フルマラソン完走や自己ベスト更新を
目指して練習を積んで行く中で
気を付けなければならない事があります。
それは、
レースが近づいて来ると沸き起こってくる
「不安の回避」に伴う行動です。
本命レースに向けて
どんなに十分な練習が積めていても、
レースの1ヶ月前辺りから徐々に
レースに対しての不安な気持ちが生まれます。
・自己ベスト更新が出来るだろうか
・最後までイーブンペースで行けるのか
・給水や補給食が上手く取れるか
・レース当日の天候は大丈夫か
ハッキリ言って、気にし出すと本当に
キリがありません。
ましてや、練習が不十分だったり、
腰や膝など体のどこかに痛みや違和感があったり、
レース直前に体調を崩したりすれば、
レースに向けた不安はより一層強くなります。
そんな不安な感情は
私達を無意識に「不安の回避」への行動に
スイッチを入れてしまいます。
レース1ヶ月前から
やってはいけない行動があります。
「新しい練習メニューを取り入れる」
という事です。
私のマラソン人生、最初のレースは
「DNS」(Do Not Start)
スタートラインに立つ事無く棄権しました。
理由はレース2週間前に膝を痛めてしまった事。
それから半年間まともに走れませんでした。
原因は
2週間前に初めて取り組んだレースペース走。
レース本番に向けて順調に練習を積んでいたのに、
関門時間への不安から、雑誌で特集されていた
「ワンランク上の走りを目指すペース走」
そんなキャッチコピーに惹かれて、
レース2週間前と言う大事な時期に
今までやった事もない様な練習に手を出しました。
走り始めて6ヶ月、いつも一人で
その日の体調に合わせて気持ち良く走っていたのが、
ハーフマラソン大会へ申し込んだ事で
記録や走るペースを意識する様になり、
いつの間にか自分の体調を無視して、
ペースばかりを気にする様になり、
とどめがレース2週間前のレースペース走でした。
ハーフマラソンへの距離とタイムの不安を
払拭するために、
15kmのレースペース走(笑
しかも、関門制限よりもかなり速いペースで
ゼェゼェハァハァ言って頑張って走りました。
そして、14km辺りで右膝にピリッと
痛みが走り、すぐに止めれば良かったのに、
「後1kmだから、そのまま行け~~~!」
と、痛いのにスパートした記憶があります。
そして、15km走り終えて、
自宅まで1kmを走って帰ろうとしたら、
膝が痛くて走れない….。
その日の夜から膝が腫れて、
曲げると痛い。
腸脛靭帯炎でした。
3日程で痛みが引いて、
普通に歩ける様になったので、
4日目にランニングを再開。
しかし、僅か500mほど走った所で
右膝に違和感….。
少し歩いて、再び走り出すも
やっぱり痛みは治まらず。
結局それから二日おきに少し走ってみましたが、
レース前日は2km走った所で膝に痛みが出て。
初めてのハーフマラソンは棄権しました。
今でこそ、レース2週間前からは
練習量を落として本番に向けた
調整をしっかりと行いますが、
当時は万全の体調でレース当日を
迎える事よりも、
レースでの関門時刻を突破する事しか
頭にはなく、とにかく必死でした。
マラソンにおける
「不安の回避」行動は、深層心理に
一発逆転の様な劇的な走力アップへの
期待が込められています。
・レース〇〇日前の下り坂走を取り入れて
フルマラソン終盤の失速を防ぐ
・レース直前ハイペース走を取り入れて
マラソンのペースがジョグ感覚になる
・糖質制限食⇒カーボローディングで
ラスト5kmのガス欠を防ぐ
・体重-〇kgで目標タイムは〇分短縮
普段やらない様な練習や食事制限に対して
体がどの様に反応するかは全く予想が付きません。
レース1ヶ月前に、
新しい練習や食事方法を取り入れる事は、
ギャンブル的要素が強く、
ハイリスク、ハイリターンです。
型にハマれば爆発的な記録の短縮も
見込めるかもしれませんが、
今まで地道に積み上げて来た走力を
全て無駄にしてしまう可能性も秘めています。
レースまで残り1ヶ月で
どんな練習方法や食事法などを取り入れても
自分の本当の走力として身に付く事はありません。
テスト前日の徹夜の暗記の様なもの。
健康診断前日の禁酒や炭水化物制限と同じ。
その場しのぎはいつかしっぺ返しが来ます。
レース1ヶ月前でもやる事は同じです。
いつもと同じようにポイント練習をして
現在の走力を確認。
2週間前になれば、一回の練習量を落として
疲労抜きを優先する。
悪あがきをするより、レース当日に
万全の体調でスタートラインに立てる事を
目標に調整して行きましょう。