【フルマラソンをイーブンペースで走る方法】
・スタート直後は流れに任せる
・10kmまではペースを上げない
・苦しくなったら肩の力を抜く
不安な未来より今出来ることを考えること。
マラソンシーズンも大詰めで
今シーズン最後のレースが
控えている人も多いと思います。
そこで、
フルマラソンを
「イーブンペースで走る方法」
をお伝えします。
あくまでも私の主観が
入っているので、
同じように実践して
イーブンペースで
走れるかどうかは分かりません。
しかし、
今までどうしても
後半に失速してしまい
納得する走りが出来ずに
試行錯誤が続いている方は
是非、私の走り方を参考に
されてください。
~~~ イーブンペースで走る方法 ~~~
<<其の一>>
スタートしたら抜かれまくれ!!
レース当日は起床後から、
何かと慌ただしく気持ちが
高ぶっています。
会場に到着して、
レースウェアに着替えて、
荷物を預けたり、
トイレを済ませて、
ラン仲間と集合写真を撮り、
スタートブロックで
長い間待たされて、
大会関係者やゲストランナーの
挨拶が終わると、
いよいよスタートです。
「よーし!!今日はサブ4
(自己ベスト)更新するぞ!」
と気合が入り、
スタートの号砲に合わせて
ストップウォッチのスタートボタンを
押すのと同時に
勢いよく・・・・は、
走り出せない大会が殆どです(笑
スタートラインを通過するまでの
ロスタイムに加えて、
スタート直後のランナー渋滞で
思う様に前に進めず、
イライラが募ります。
「こんな所で無駄にタイムロス
している暇はない!!」
とランナーの隙間を縫い、
歩道や中央分離帯に上って
一気に前に進む。
これ!
完全に後半失速パターンです(笑
理由は、
・体が温まってないのに、ペースを上げる
・無駄な動きが多い
・ランナーを抜くルートを探すのに集中力を使う
スタートブロックで長時間
動かないで立ったり座ったり
していた事で、
筋肉は完全に固まっています。
中腰で長時間、草取りをして
立ち上がると、腰が伸びないですよね?
同じ事が股関節や腰、背中の筋肉に
起こっています。
そんな筋肉が凝り固まった状態で
いきなり目標とするレースペースまで
一気にスピード上げると、
筋肉がビックリしてしまいます。
最悪の場合、筋肉の繊維に
細かな傷が入ってしまう事もあります。
筋肉は何万本もの筋肉の繊維が
束になって一つの筋肉になっているので、
多少筋肉の一部に傷が入っても
最初のうちは大したダメージはありません。
しかし、これから42kmを走る訳です。
片足に2万~2万5千歩の着地を
繰り返すことになるんです。
一歩一歩の衝撃は小さくても
スタート直後に傷ついた筋肉は
少しずつ傷口が広がって行く訳です。
それが、30km以降に太ももやふくらはぎ、
腰や背中の痛みとなり、
失速の原因になって来ます。
筋肉が凝り固まった状態で
沿道や中央分離帯に上がるような
ダイナミックな動きも
筋肉に傷をつけるリスクが高いです。
スタート直後のランナー渋滞は
出来るだけ
流れに身を任せる
これを意識してください。
ランナーの隙間を塗って
ジグザグに走るのは
筋肉へのダメージもありますが、
それ以上に
神経を疲れさせます。
常にランナーの隙間を
探す為にキョロキョロしながら
狭いスペースで隣のランナーに
体がぶつからない様に
微妙に姿勢を変えながら
ランナーを抜くのにペースを上げ、
前が詰まればペースを落とす。
こんな状態が2kmも3kmも続けば、
5km走った時点で、なんだか
グッタリしませんか?
人間の集中できる時間は
「50分」程度です。
ランナー渋滞が5km続く間
ジグザグ走法をすれば、
既に30分近く集中力を
使ってしまった事になります。
集中力は出来るだけ
30km以降に残しておきたい
能力です。
スタート直後は
とにかく流れに身を任せて、
「抜きたい奴は勝手に抜いていけ♪」
くらいの余裕をもって走ってください。
<<其の二>>
10kmまでは「目標ペース」より速く走らない!
スタート直後のランナー渋滞も
5kmを過ぎた辺りから徐々に
ばらけて来ます。
体も程よく温まり、心肺機能も
落ち着いて呼吸も楽になって来ます。
体の特徴として、
筋肉が冷えている状態で走り出すと
血管が開いていないので
走り出した直後は筋肉へ十分な
血液を送る事が出来ません。
そのため
筋肉が温まって血管が開き
沢山血液が流れる様になるまでは、
心臓の動きを速くして、
血液の流れるスピードを
速くする事で対応します。
走り出して、最初の2~3kmは
ペースがそこまで速くないのに
少し息が弾むのは、
血管が開いてない分
心臓を速く動かして血液の
流れるスピードを速くするためです。
筋肉が温まり、血管が十分に開いて
呼吸が落ち着いて来るのが、
ランナーによって
バラツキがあるのですが、
3km~8km位の間です。
この筋肉が温まって来た頃が
実は後半の失速に繋がる
危険ゾーンになります。
レースがスタートして
筋肉の温まっていない状態で
レースペースで走り、
呼吸が少し弾んだ状態を
脳がインプットしてしまうと、
「今の状態がレースペース」
と錯覚してしまいます。
ちょっと説明が難しいので、
別の言い方で表現すると、
全力で走る感覚を「10」
とすれば、
筋肉が温まっていない状態で
レースペースで走るには
「6」くらいの力を
出す必要があると
脳が認識をします。
筋肉が温まって動きが
スムーズになって来ると、
レースペースで走るには
「4」位の力で良くなります。
しかし、脳は筋肉が温まって
動きが良くなっている事に
気が付かずに
「6」の力を出し続ける様に
指令を送ります。
すると、どんな事が起きるか
分かりますか?
同じ感覚で走っているにも
関わらず・・・気が付けば
自然とペースが上がって走っている
そんな状況が起こります。
イーブンペースで「サブ4」を
達成しようと
5分30秒ペースで走っていた
つもりが・・・気が付けば
5分10秒にペースが
勝手に上がっていた!!
なんて経験がないでしょうか???
一度上がってしまったペースを
落とすのって、物凄いエネルギーと
ストレスがかかります。
ついでに、「欲」が生まれます。
「調子も良いし、このまま行って
貯金をした方がサブ4が狙えるかも??」
「ペースを落としも後半疲れて失速するかも?」
なんやかんや言っても、
人間は一度手にしたものを手放すのは
嫌なんです(笑
せっかく5分10秒まで上がったペースを
わざわざ落としたくない。
「えーい!!このまま行ける所まで
行ってしまえ~~~。」
と勢いに任せて走り、
後半に辛い思いをしたことが
何回有りますか???
「あの時、レースペースに戻しておけば
今、こんなに苦しまずに済んだのかな?」
と何度も「たら、れば」の答えのない
問答を繰り返してませんか???
一度手に入れたものは
なかなか手放せません。
だったら、手に入れなければ良い。
10kmまでは絶対に
「レースペースより速く走らない」
これを徹底してみてください。
<<其の三>>
当日の天候や体調に合ったペースで走る
「サブ4」を狙うからには、
絶対に5分40秒は死守したくなります。
しかし、当日の天候や体調により、
%name1%さんにとって、
5分40秒のペースが合わない事があります。
私が考える
10km過ぎから25kmまでの感覚は
「ペースを上げようと思えば
10秒位は余裕で上げられる♪」
そんな感覚を大切にしています。
「会話をすれば息が弾むけど、
話を聴いて相槌を打つくらいは出来る」
この様な感覚で走れる位が
遅すぎないし、速過ぎないペースです。
レース当日の天候も体調も良ければ
この感覚が
5分30秒のペースにハマるかもしれません。
逆に、天候も悪く調子もイマイチなら、
5分40秒でも「きつい」と感じるかもしれません。
「5分40秒」というペースに固執するのではなく、
「10秒なら余裕で上げられる」
感覚のペースに合わせる
という事が大切になります。
「5分50秒」でペースがハマれば、
「サブ4」は無理かもしれません。
かと言って、無理に5分40秒のペースに
合わせて「サブ4」が出来るかは分かりません。
逆に「5分50秒」で走っているうちに
天候が回復して体調も上がって来て、
後半は「5分30秒」で行ける可能性も
残っている訳です。
人間の「想像する未来」の特徴として、
「現状の延長線上に未来を想像する」
傾向が強くあります。
今が辛いと、その延長線上で
辛い未来を想像してしまいます。
しかし、未来に何が起こるかは分かりません。
実際に私は
病み上がりで、レースに出走して、
前半は鼻水が止まらずに、
呼吸が苦しくて途中棄権も考えたのが
「記録は諦めて距離走のつもりで走ろう♪」
と割り切った後に、
20km過ぎから鼻水が止まり、
天気も回復して体が温まり、
後半はペースアップして、
セカンドベストでゴールした事があります。
現状が苦しくても、未来が苦しいとは限りません。
当日の天候や体調に合ったペースで走る
という事を意識してみてください。
<<其の四>>
ペース維持が苦しくなったら、楽なペースに落とす。
「サブ4」達成に向けて、最大の山場は
25km~35km辺りになります。
筋肉にも精神的にも疲労の色が見え始め、
今まで余裕を持って走っていた
レースペースが徐々に辛くなって来ます。
ちょっと油断をすると、ペースが2~3秒落ちて
慌ててペースを上げる。
でも長くは続かない・・・。
そんな状況が起こって来ます。
この時に無理にペースを維持しようとして
腕を大きく振ったり、歩幅を広げたり
蹴り脚を強くしたりすると、
35km過ぎに脚が攣ったり、
心が折れて足がパッタリ止まったりと
言った状況に陥ります。
ペース維持が辛くなったら、
今の状況でイーブンペースで走れる
ペースを見つけてください。
先程も言った様に、
今の辛い状況が未来に繋がっている
訳ではありません。
敢えてペースを落として休んだ事で
体が回復する事があります。
レースペースを維持するのに
必死になってフォームが乱れてしまった
可能性があります。
ペースを落として
自分の本来のフォームに
戻してあげる事で
走りにリズムが戻って来ると
意外とペースも上がって来ます。
「ペースを落としてはいけない!!」
と言う見えないプレッシャーが
筋肉を緊張させて
レースペースが維持出来なくなる
原因になっている事もあるんです。
ちょっと力を抜いて、
ペースを落としたつもりで
本来の自分のフォームに戻り、
実際にラップを確認すると、
「あれ??意外に落ちてない!」
「まだまだ行けるぞ!!」
そう思った瞬間に、
俄然元気になります。
人間って、そんなもんです(笑
<<其の五>>
「大丈夫、大丈夫」「まだまだ行けるよ~」
35kmを過ぎると、ペースを維持するのにも
必死になります。
ふくらはぎや太ももにも痙攣の兆候が出て、
何かのきっかけで
心は今にもポッキリと折れそう。
でも、自分の体をよく観察してください。
苦しいながらも、まだ脚は動いています。
ペースも何とか維持してます。
「大丈夫、大丈夫。足動いているよ」
「良いペース、良いペース♪
このままのリズムで押して行こう。」
今のペースが維持出来なくなる不安に
心を奪われるという事は
自分の意識は
「今、ここ」にはなく、
まだ起こってもいない「未来」に
飛んで行ってしまってます。
ここまで残して来た
「集中力」をここで使ってください。
今、この瞬間はまだまだ体は動いています。
「今はまだ動いている!」
「前のランナーが近づいてきている!」
「残り3kmを切った!」
「まだサブ4の可能性が残っている」
誰も予測できない未来よりも
今も頑張っている自分を
最高の言葉で褒めてあげてください。
<<其の六>>
「失敗」は無い!あるのは「経験」だけ
「サブ4」(自己ベスト)が出来なくても、それは
「失敗」ではありません。
「サブ4」を達成するために必要な
「経験」をしたに過ぎません。
次のレースに向けて
「サブ4」達成の壁となる要素を
改善すれば良いのです。
今まで頑張って来た練習もレースも
全ては「サブ4」達成(自己ベスト更新)の為に
一つとして無駄なものはありません。
どうか今の自分に「自信」をもって
レースに臨んでください。
どんな状況も受け入れて、
今、自分に出来る事を精一杯する。
それが
イーブンペースで走る方法です。